Success Stories

02
田 园园

「人の営み」に心を
動かされる瞬間を捉える

ー ニコンフォトコンテスト(NPC)2016-2017のグランプリ受賞作「休」について教えていただけますでしょうか。

私が住んでいる場所から60kmほど離れたところに、手作業による鋳造工場があると聞き、苦労の末、その場所を探し出しました。2014年12月末のある日、午前2時に車を走らせてその工場へ赴いたのです。

作業場に入ると、鉄を鋳造するために使われる水の蒸気が室内に立ちこめていて、労働者たちがそこに見え隠れしていました。午前4時から7時の間、空が徐々に明るくなるまで撮り続け、やがて夜勤交替の時間になりました。連日の雨で作業場には湿気が充満していましたが、その日は快晴だったため、日の出とともに朝日が降り注いできました。夜勤を終えた人々は入口の横に集まってきて、世間話や日向ぼっこを楽しんだり、朝食をとったりしながら勤務を引き継ぐ人たちが来るのを待っていました。

私は帰ろうとして機材を片付けていましたが、ふと振り返ると、朝日と蒸気に包まれた彼らの姿があり、その情景に強く引き付けられたのです。厳しい労働環境と夜勤の疲れ、家族を思うが故の献身的な仕事ぶりに私の心は動かされました。現在、その工場は既に閉鎖しており、もう二度と同じ光景を目にすることはできませんが、そのときの情景は私の脳裏に永遠に刻み込まれています。

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ー NPC受賞後、何か変化はありましたでしょうか?

NPCの事務局から受賞の連絡をいただいた時、驚きと喜びの気持ちでいっぱいになりました。今でもその瞬間を鮮明に覚えています。日本での授賞式とフォトエキシビションのオープニングに参加し、写真界の多くの方々と交流できたことは、大きな糧となっています。特に、審査員のネヴィル・ブロディ氏と小高美穂氏は、私が撮影のテーマとしている「人の営み」に興味を示してくださり、そのテーマで長期に渡って写真を撮り続けてほしいとのアドバイスをくださいました。お二人から頂いたお言葉は、私の創作活動に多大な影響を与えています。

この度の受賞により、「撮影之友」「大衆撮影」「網易」など数多くのメディアに取り上げられ、地元・安徽省写真家協会の微信(WeChat)公式アカウントでも紹介されました。県のテレビ局からもインタビューを受け、ニュースで取り上げられています。こうして、本国及び地元の写真コミュニティに影響を及ぼし、私の知名度を高めてくれたのは確かです。とはいえ、今回の受賞はすでに過去のことです。今後の創作活動では、シャッターを切る1回1回のチャンスを大切にし、NPCグランプリ受賞者の名に恥じない写真家でありたいと思います。

撮影を愛し、撮影の腕を磨き、
そして撮影を楽しむ

坝上草原 撮影地:河北 坝上
気温-30℃の中行われた撮影だったため、「機材がうまく機能しないのではと心配していたが、初日の撮影を終えてそれが無用な心配だったことがわかった」と田氏。この撮影を経てニコンの機材への信頼が高まり、満足のいく作品が撮れたという。
Camera:
D800
Lens:
AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VR
Camera:
D800
Lens:
AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VR
Camera:
D810
Lens:
AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8G ED VR II

ー 田さんにとって、写真とはどういうものでしょうか?

アマチュアとして撮影を始めて15年余りになりますが、常に国内外の先人たちの名作を勉強し、理論と知識を紐解き、新しいものを作り出そうと心がけてきました。これらが自分の作品の観念と境地に更なる革新をもたらすと期待しています。

また、私は「撮影を愛し、撮影の腕を磨き、そして撮影を楽しむ」という初志を貫いてきました。写真撮影には労力を要しますが、「疲れながら楽しむ」というスタンスで撮る作品や、撮影の考え方そのものも一貫して楽しんでいます。

この度のグランプリ受賞は現時点での成果ではありますが、今後を示唆するものではありません。写真を撮るには謙虚かつシンプルな心理状態も必要だと思います。その状態で創作に臨んで初めて非凡な作品が生まれるのでしょう。

ー ほかの代表作と、現在進行中のプロジェクトについても教えていただけますか。

その他の代表作としては「猴子观海」があります。これは、2013年12月の冬に撮影した作品です。気温-16℃で弱い光の中、ニコンD800を携えて黄山の観光スポットである猴子观海へ赴きました。星の軌跡を撮るのは少し難しい作業です。暗い中でのフォーカスは困難なので、私はシングルポイントAFで遠くの星と明かりにピントを合わせていましたが、その精度の高さに驚かされました。

現在撮影しているテーマは2つあります。1つは私が住んでいる場所の近くにある城中村(都市の再開発から取り残された村落)で、もう1つは田舎の小学校です。1年以上撮り続けていて、すでに大量の写真を撮り貯めていますが、撮りたいものが尽きるまで徹底的に撮影したいと考えています。

猴子观海撮影地:安徽 黄山
同作は気温-16℃、暗い中で撮影が行われた。「撮影仲間の間でも、カメラのピント合わせが最もスムーズで、悪条件下でも自身のカメラの優位性が際立った」と田さんは語る。「仲間が遭遇していた、フリーズやバッテリーの持ちが悪いといった問題も皆無だった。」
Camera:
D800
Lens:
AF-S NIKKOR 24-85mm f/3.5-4.5G ED VR
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Camera:
D800
Lens:
AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VR

ー 創立100周年を迎えたニコンにメッセージや要望があればお願いいたします。

ニコン創立100周年は、本当に喜ばしいことです。私はニコンとともに15年を過ごしました。我々の友情はより深くなるでしょう。私はこれからニコンのカメラでより一層沢山の作品を撮り、ニコンの良さを世間に伝えていきたいと思います。そして、ニコンには写真に関わる人々によりよい機材と、さらに多くの交流の場を提供してほしいと望んでいます。ニコンの機材が一段と魅力に満ち、また、企業としてますます発展されることを祈っています。

ー 最後に、今後NPCに参加したいと思っているフォロワーの方々へメッセージをお願いできますでしょうか。

私は第36回で初めて参加し、受賞できたことを大変光栄に思っています。これから参加される皆さまは、歴代のNPC受賞作品をよく研究して頂ければと思います。日常生活の細部や決定的な瞬間にもっと強い関心を持ってください。そしてたくさん撮って、たくさん振り返ってください。数多くの写真を撮って初めてチャンスが訪れ、そしてじっくり考えて初めて他人と異なる作品が生まれます。たくさんの振り返りがより大きな進歩を生むのです。さらに多くの優秀な作品が世に出て、ニコンフォトコンテストのレベルをさらに押し上げることを望んでいます。

田さんが現在使用しているニコンカメラとレンズ。
Cameras:
D5
D810
Lenses:
AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED
AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VR

田 园园

1980年5月生まれ。安徽省師範大学コンピューター教育学部を卒業後、安徽省蕪湖市繁昌県新港中学校で教師を務める。また、中国撮影家協会会員、安徽省撮影家協会会員、蕪湖市撮影家協会理事、繁昌県撮影家協会副主席としても活動。

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