Nikon Photo Contest 2018-2019

一般部門 組み写真

銅賞

《冬暖》组照(組写真「冬暖」)

趙 林(Lin Zhao)

中国

ストーリー

「冬暖」 撮影--趙林 窓の外、寒の入りの頃、空は寒く地は凍えている。机に436通の手紙が順序よく並べられている。机の前では90歳を越えた母が注意深く、黄ばんで字がかすんでしまった1枚の便箋を開き、ていねいに読んでいる……半世紀の間、大切にしまっていた436通の手紙。どの手紙にも1通ごとに物語がある――美しい物語、温かい物語、楽しい物語、つらい物語。どの段落にも深い思いがこめられている——親を思う気持ち、友情、愛情、故郷を懐かしむ気持ち。時間のペンが、記憶の中で止まる…… 50年以上前、父が送って来た最後の手紙を読む。父のおだやかな顔が行間から浮かび上がる。手紙を読むことはその人と会うことだ。50年前、子どもを連れ古い家のざくろの木の下で撮った夫婦の写真を見つめると、心がざわめき、まるで昨日のことのように思える。 …… 時代は移り、インターネットが広がり、人々の視界から次第に手紙は消えている。WeChatが世の中の変化を身近にし、人と会うのも簡単になった。高齢の母も時代と共に歩み、WeChatでつながり、モーメンツを見ることを覚え、科学技術の新しい体験、感覚を楽しんでいる。でも、手紙がもたらす感情はほかのものには代えられない。こんなにも美しいものが記憶になる。過ぎ去ったことが経験になる。温かいものを一生しまっておける。残されたものを一生大切にできる。今夜、母はまた手紙を読む…… 2018年、この冬は少し暖かい。

コメント

ニコンは世界の写真家のために世界各地の風土と人情を写した作品を展示する場を与えてくださいました。ニコンフォトコンテストの厳選なる審査により、優れた作品が展示される運びとなったこと、感謝申し上げます。また『冬暖』への激励に感謝します。

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